こちらは仙台の弁護士馬場亨の法律事務所です。今日のテーマは『抵当権の消滅時効』についてです。
民法267条1項は、債権の消滅時効は10年と定めている。同2項では、債権または所有権以外の財産権の時効は20年と定められている。従って、たとえば地上権設定契約を結んでも、20年間、土地を使わないでいれば消滅時効にかかってしまう。その後に、使いたくなっても、土地の所有者が「時効だ」と言えば、地上権者は、もはや使えない。
ところで、AがBに100万円を期限1年、年利5%で貸して、Bの土地に、担保として抵当権を設定して登記を得たという事例で考えてみよう。遅延損害金の定めはしなかった。
Bが1年経って、利息は支払えたが元本100万円は返せなかった。この場合、遅延損害金は5%である。Bは毎年5%の遅延損害金を支払ったが元本を返せないまま、20年経ってしまった。BはAに抵当権の設定登記の抹消を請求できるだろうか。
この場合はできない。
抵当権は、債務者及び抵当権設定者については、その担保する債権と一緒でなければ時効消滅しないと、民法396条に規定されている。
Bは20年間、遅延損害金を支払い続けてきたから、債務承認をしていたことになる。この場合、その都度、時効が中断されている。従って、20年を過ぎたとしても、利息を支払ったところから、改めて貸金債権の時効は、進行する。すなわち、貸金債権は時効消滅していない。
すると、抵当権の設定から20年を経過していても、抵当権は時効消滅しないこととなる。
但し、債務者や抵当権設定者以外の者’例えば後順位抵当権者との関係では、抵当権は、債権から独立して時効にかかる(民法396条、判例)。
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