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破産債権の行使と破産手続開始後の保証人の弁済
2010/08/25

こちらは仙台の弁護士馬場亨の法律事務所です。今日のテーマは『破産債権の行使と破産手続開始後の保証人の弁済』についてです。

債権者甲、債務者A、保証人B、債権額100万円という例で考える。

Aが破産宣告を受けた。そこで、甲がBに保証債務を請求したところ、50万円を支払った。この場合、甲はAの破産手続きでは、破産手続き開始の時に有していた破産債権100万円で破産債権の届け出をして権利行使できる(破産法104条2項)。

では、甲がAに対して有する債権が実は50万円と50万円の二口の債権であった場合で、破産手続き開始後、Bからこの内の一口の債権全部50万円の弁済を受けた場合でも、甲は二口の合計100万円を破産債権として届け出ることができるのだろうか。

これはできないというのが判例である。破産法104条2項は、同条5項で物上保証人の場合に準用されている。すなわち、Bが抵当権設定者であったり、質物提供者だったりした場合も同じ取り扱いがされる。この場合、二口合計100万円の内の一口50万円を物上保証人が支払ったという例について、最高裁の判決がある。

「債務者の破産手続開始の決定後に、物上保証人が複数の被担保債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済した場合には、複数の被担保債権の全部が消滅していなくても、上記の弁済に係る当該債権については、同条(破産法104条)5項により準用される同条2項にいう「その債権全額が消滅した場合」に該当し、債権者は、破産手続きにおいてその権利を行使することができないものというべきである(最高裁小3H22.3.16)(判例時報2078・p13)」と判示した。

物上保証人に関する(破産法104条5項)判例であるが、破産法104条2項の解釈でもあるわけだから、保証人の場合も、複数口の債権の一部の債権について全額の弁済が保証人によってなされた場合は、債権者は、その債権については、届け出破産債権の総額からはずさなければならない。

保証人Bが一部の債権の全額を支払ったことによって、その債権に関する求償権を取得することになるから、その債権に関しては、保証人Bが求償債権を破産債権として届け出て、配当を受けることになるだろう。


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